暫くの沈黙の後、ママは真剣な顔で私にこう言った。


「アンナ?」

「・・・?」

「彼氏でも出来たの?」

「え?」

「相手に気持ちを上手に伝えられるようになりたいんでしょう?」

「でも、違うよ!彼氏じゃなくって・・・友達が・・・」

「ん?」

「あのね、友達が出来たの。」


私はそう言って、急に恥ずかしくなって俯いた。
友達なんて、普通にしていれば出来て当たり前なのに。

そんな事をママに言ったら、またママが悲しむんじゃないかと途端に不安になった。

「・・・・アンナ。」

私は未だ恥ずかしくて俯いていたけれど、ママが静かにそう私を呼んだので、ゆっくりと顔を上げた。

ママと視線が合うと、ママの蒼い綺麗な瞳が微かに濡れている。
ママはテーブルの上から手を伸ばすと、カップの隣に置かれた私の手を両手で包み込む。

「とても素敵な経験をしているのね。ママ、とっても嬉しい。」

ママはそう言って、私の手をぎゅっと握った。