「はいよっ。」

声が聞こえて、今度こそ勢いよく振り向くと、くしゃっとした笑顔で本を差し出す人がいた。

「…っありがとうございます。」
思わずその笑顔にみとれ、我にかえりお礼を口にする。

「後輩ちゃんだね〜。」
ニコニコしながらその人が言う。

視線を履いている上履きに移すと、上履きの色が違った。2年生だ。


先輩はフワフワとした口調で続けた。

「後輩ちゃんは、困ったら先輩に頼んないとだめだよ〜。それでなくても女の子なんだからさ。」


「そんな、可愛らしい女の子じゃないんで。」

この様な事を言われると、こんな可愛い気のない台詞しかでてこない。