「ねえ」 静かな声量で、コソっと発する声が聞こえ、そちらの方を向く。 その声は、私の方を向いて右手を口の近くに当てている隣の席である、 黒崎啓(くろさき けい) であった。 「あのさ、今どこのページやってる?」 「えっと、65ページ」 「どうも!」 ニカッと笑って、体制を元に戻すカレ。 びっくりした! はぁー、と心の中で自分のダメさにため息をついた。 今のはもっと話せる絶交なチャンスだったというのに、“65ページ”という一言。 自分の馬鹿さ加減に何度呆れたことか…