どうしようもないって思うのは本当のことで。

実際、人の気持ちなんてどうしようもない。
だけど、そう思うのが自分だけだから。

意味がないじゃないか。

遥ーーは、あたしの友達。
友達だったって表現が今は正しいかもしれないけど。

運悪く、遥の好きな人が、桐谷絢人で。
昨日告白されてしまったことが、遥に知られていた。

どうしてって思ったってもう遅くて。

誰かに聞かれていたんならそうだろうし。
考えにくいけど桐谷くんが自分で言ったのかもしれない。


問題は、誰が教えたかじゃない。
これからどうするか。
それだけ。

遥とは、付き合いが長いーー、って言うか。
嫌だとか、違うだとか自分の意見を押し殺して遥について行ったあたしがいたから。
もちろんめんどくさかったって理由なんだけど。

遥に何て弁解したって、あたしの言うことを聞くような子じゃないってのはあたしが1番知ってた。

失礼なことのようにも思うけど、本当にそうだから仕方が無い。

溜息を飲み込んだ。
こんな状況で溜息何てついたら、遥たちを煽るだけだ。

あぁ、でも。
面倒なことになったなぁ。

あたしに聞こえるようにって配慮なのか、わざとじゃないのか知らないけど、その当てつけるみたいな会話は大きかった。

クラス全体に響くくらいに。

誰が聞いてもいい気分になる訳もない。

だけど、


「遥元気出して〜」

「遥にはもっといい人がいるんだよ!」

「悪いのは藍なんだからさ〜」

それは止まらない。

少しピントが外れてるようにも思うその会話は、あたしを貶めたいって感じがありありとでてた。