『一緒に、死のう?』

何かが壊れた、音がした。










「俺、」

目の前に立つ彼は、何かを決意するかのように、一呼吸置いた。

放課後の教室、窓の外には重たい雲が広がる。
そっか、午後から雨だって言ってたっけ。

朝たまたま目に入った天気予報を記憶の片隅で思い出す。

雨は苦手だ。
低気圧はどうも、頭が痛い。

「…」

困る。

うん、本当に困った。

特に何の予定も入っていない月曜日。
部活にも所属してない。

バイトはしているけど、今日シフトは入っていない。

本当に、たまたま。

…用事があったなら、断れただろうか。

あたしは特に、いや、全くモテるタイプではないのだけど、隣のクラスの男子に呼び出されていた。

覚えている限りでは、数回会話をしたことがあるくらいの仲。

少なくともあたしは、そう認識している。

だから''それ''が起きない可能性に賭けてみたけど、やっぱり''それ''は、心の何処かで確信していたものだったようで。

このシチュエーションで、何なんだろうなんてわざわざ頭を捻ってしまうほど鈍感ではないつもりだ。

でもただ、相手が相手なだけに''それ''を疑ってしまった。


「俺、神代(かみしろ)のこと好き…、なんだよね」