Bitter heart

放課後、掃除を終わらせて自分の席で今日の授業の復習をして雅紀を待つ。

部活を終わらせて走ってきた雅紀は制汗剤の匂いを爽やかにまとっていた。

雅紀｢お待たせっ｣

『部活お疲れ。』

雅紀｢ありがと、ちょっと話いいかな｣

そういって前の席に腰掛けてきた雅紀の顔を見る。

雅紀｢奈々美さ、翔先輩知ってる？｣

『翔先輩？誰それ？』

雅紀｢そっか、実はさ…翔先輩が奈々美のアドレス知りたがってて。｣

『うん？誰？』

雅紀｢部活の先輩なんだけど…｣

『そう。で、どうすればいいの？』

雅紀｢教えてもいい？｣

『んー。まぁいいよ。返すかはわからないけど』

雅紀｢わかった…｣

自分から頼んできたのに嫌そうな顔をしている雅紀。

雅紀｢ありがとう、伝えとくね、じゃあ帰ろ。｣

バックをもって立ち上がる。
急いでノートをしまい、ついていこうとすると教室のドアの前で雅紀が止まった

『雅紀？』
背中に問いかけると、振り返らずに雅紀が答える

雅紀｢奈々美が最近元気なくて話せなかったから久しぶりに話せて嬉しいのに、こんな話しなきゃいけないなんて。｣

振り向いた雅紀は泣きそうな顔をしている
雅紀｢ねえ、もう大丈夫なの？俺も、本気出していい？｣

なんのことかわからず、雅紀を見つめる

雅紀｢帰ろっか｣
微笑んで振り返り、教室を出ていく。

雅紀を追いかけて歩いていると
一人の男子が壁によりかかって立っていた。

前に、ミルクティーをくれた先輩だった。

雅紀｢お疲れっす。後で連絡します。｣

雅紀はその人に挨拶をして通り過ぎる。
軽く会釈をしながら通り過ぎようとすると腕を掴まれた。

｢勉強、おつかれ。｣
そういって手渡してきたのはまたミルクティー。
『あ、ありがとうございます』
良く分からないけどお礼を言うと先に進んでいた雅紀が呼んているから足早にその場を過ぎた。