それから月日が経った。

雅紀のことも少し避けるようになっていた。
最初は話しかけていた雅紀も、最近だと話しかけてすら来ない。

優里「奈々美、購買いこ」

優里に誘われ、購買でパンを買ったあと、自販機に寄る。

『あ、ミルクティーないや。』

いつものミルクティーが売り切れてて、悩んでいると横から視線を感じる。

男子生徒が財布を持ってこっちを見ていた。
『あ、先どうぞ』

自販機を譲ると、ありがとうと言ってその人はお金を入れる。
カフェオレを押した筈なのに、出てきたのはミルクティー。

「うわ、まじか」
そう呟いてもう100円いれてもう一回カフェオレ押したら今度はちゃんと出てきた。
「よっしゃ。」
その人は二つの飲み物を持って振り返り

「お先ありがとね、これ飲みたかったんでしょ?出てきちゃったからあげる。」
と言ってミルクティーを私に差し出してくる。

『え、なんでミルクティー飲みたいってわかったんですか』

他にも売り切れのはあるのに。

「え、いや、なんとなく!そうかなって!じゃ、じゃあ」
足早にさっていくその人。

『あ、お金…』

何を飲むか悩んで握り締めた百円玉は行き場がなくなり、財布に戻るしかなかった。