「ぶっちゃけ、好きになったりしないの?」

「それ思った!2人のイケメンとずっと一緒だと意識しちゃうでしょ?」

「そんなことないよ?幼馴染みってだけで」

「そうそう。幼馴染みってそんなもんだよ?」

「へぇ〜!じゃあ私、黒崎狙いでいこうかな〜!」

「…私、桐島狙いでいくわ!」



…えぇ!?
あたしたちがなんとも思ってないって言った途端、女子たちは騒ぎ出した。
…そんなにあの2人はモテるんだね。
あたしと理乃は顔を合わせて、驚いていた。





「…てめぇ、ふざけんな!!」



いきなり、大声を出されてビクッとなる。
…この声って、紘!?
あたしは紘の方を見た。
すると、紘は1人の男子の胸倉を掴んでいた。
今にも殴りかかりそうだった。
…どうしよう、止めなきゃ!



「…あたし、行ってくる!」

「…えっ!?ちょっと、美稀!?」



あたしは紘の元へ駆け寄った。
紘の顔は怒っていた。
…きっと何かあったんだと思う。
紘は何もないのにいきなり殴ったりするような人じゃない。



「紘、やめて!」

「あぁ!?…美稀」



紘はあたしの顔を見ると、チッと舌を鳴らして掴んでいた胸倉を離した。
…よかったぁ。



「…大丈夫?」


あたしは胸倉を掴まれていた男子に声をかける。


「…美稀ちゃん、ありがとう」

「…ごめんね。でも、紘は悪い人じゃないの」

「おい、美稀!そんな奴放っておけよ」

「放っておけないよ。紘もどうしてこんなことしたの?」

「それは……」



そう言うと、紘は黙り込んでしまった。
…どうして?あたしに言えないようなことなの?



「…何でもねぇよ」

「…あ、紘!?」



紘はそう言って、教室から出て行ってしまった。
…まさか、サボるつもり?
紘はよく授業をサボる。
テストの成績も悪く、赤点を取ったこともある。



「…颯人、どうして止めなかったの?」

「止めたよ。でも、あいつ聞かないから」

「…そっか」

「美稀だけだよ。あいつを止められるのは」

「…え?」

「…あいつ、美稀の言うことしか耳貸さないよな」



…それはどういうこと?
あたしが言ったことしか聞かないってこと…?
そんなことないのに…



「…美稀!大丈夫!?」

「うん。でも、出て行っちゃった」

「平気だよ、少し頭でも冷やして来たほうがいいって」



…そうだね。
紘が落ち着くまでそっとしておこう。
それで、後で紘に聞かなきゃ。