あたしと理乃は周りの女子とすぐ仲良くなった。
紘と颯人の周りにも、あっという間に男子が集まっていた。
そして、今あたしたちは恋バナをしているところ。
「知ってる?3年の先輩で超カッコいい人いるんだってー!」
「知ってる!倉持 春輝先輩でしょ!?超イケメンだよねぇ!」
倉持 春輝先輩…?
なんで入学したばかりなのに、そんな情報もう知ってるんだろ…?
「…ってかさ、美稀って彼氏とかいないの?」
「…え、あたし?」
「私も思った!美稀超美人だからモテるでしょー?」
「いや、全然モテないよ。彼氏もいないし…」
「マジで!?じゃあ、黒崎は?」
「…紘?」
…さっきからあたしばかり質問攻めされてない?
あたし恋愛とか全然してきたことないから分からないんだけどな…
それに、なんで紘…?
「だって、黒崎と仲良くない?」
「それなら理乃も仲良いよ?幼馴染みだから」
「そうなの!?羨ましい〜」
女子たちは盛り上がっていた。
…幼馴染みって羨ましいのかな?
「それに、黒崎って意外とカッコよくない?」
「いや、かなりイケメンじゃない?」
…紘がカッコいい?
あたしは全然そんな風に意識して見たことがなかったから分からない。
でも、紘は昔からモテてたかも。
「やめときなよ、あいつは。乱暴だし、自己中だし」
理乃は紘を見て、手を横に振った。
…まぁ、理乃が言ってることは間違ってはいない。
「えー、そうなの?…あ、黒崎の隣の桐島もカッコよくない?」
「…ほんとだ!黒崎とは違う部類のイケメンだよねぇ!」
「颯人も幼馴染みだよ」
「…え!?マジ!?イケメンな幼馴染みがいるとかいいな〜」
颯人は確かにカッコいいと思う。
大人で、優しくて、頼りになって。
でも、好きという感情とは違う。
やっぱり、幼馴染みな関係は壊したくないから。