…あ!クラスの女子たちがすごくカッコいいって話してた3年の先輩だ!
こんな偶然あるんだなぁ。
「…どうかした?」
「あっ、いえ!その、倉持先輩のことを友達から聞いていて…」
「そうなんだ。…美稀ちゃんって呼んでもいいかな?」
「はい!よろしくお願いします!」
「よろしくね」
そして、あたしは倉持先輩と別れて屋上に戻る。
少し遅くなっちゃったな…
扉を開けると、紘の姿が見えた。
…よかったぁ。
「…紘!」
「…美稀!お前、何してたんだよ」
「遅くなってごめんね!…はい!」
あたしは手に持っていた焼きそばパンを差し出した。
「…いいって言ったろ」
「でも、好きでしょ?」
「…そうだけど」
紘は焼きそばパンを受け取る。
「…ん」
紘はあたしが預けておいたお弁当を差し出してきた。
「あれ?食べてもいいんだよ?」
「人の弁当食えるかよ」
「でも、それだけじゃ足りないでしょ?…玉子焼きあげる!」
「いらねぇよ。…あ、払うの後ででいいか?」
「ううん。大丈夫!そのパン、優しい先輩がくれたの」
「は?大丈夫かよ、そいつ」
紘は怪しげにあたしを見る。
確かに、普通に考えたらタダでパンをあげる人なんていないよね。