お昼休み。
結局、紘が授業に出ることはなかった。
あたしは心配になって、お弁当を持って屋上にむかった。
紘がいるところと言ったら、大概屋上。

扉を開けると、気持ちの良い風があたしを包み込んだ。
目の前には、遠くを眺めている紘がいた。
…やっぱりね。



「紘!」


あたしの声に反応して、振り向く。


「…美稀」


あたしは紘の隣に並んだ。


「…ここ、気持ち良いね」

「…あぁ」

「…お弁当食べよ?」

「…俺持ってきてねぇし」

「そうなの!?だったらもっと早く言ってよ〜!購買で何か買ってきたのにー」

「…いいよ、別に」



…やっぱり、何かあったんだ。
紘は俯いてしまった。
…よし!購買に行ってこよう!



「ちょっと待ってて!お腹空いてたらあたしのお弁当食べててもいいから!」

「は?…って、おい!美稀!?」



あたしは紘にお弁当を押し付けて、屋上を出た。
教室に急いで戻って、財布を取り出す。
…購買で紘の好きな焼きそばパン買ってこよう!
それで、少しでも元気になってもらおう!