お母さんの眠そうな声で目が覚める。
ああ、また面倒くさい1日が始まるのか。
そう思い私は重い体をゆっくり起こす。
台所に行くとシンッとした空気が
体にしみる。
「今日は少し寒いな…」
そう呟き、洗面所に向かった。
水道に手を付け、冷たい水で顔を洗う。
そして目の前にある鏡で私は私を見つめる。
「また少し太ったかな…」
自分のお腹を少しつまむ。
確かに太った。
私は太ることが何よりも嫌だ。
もちろん見た目は細いほうがいい。
だけど理由は他にもある。
ソイツに馬鹿にされるからだ。

ソイツは身長177cmにして体重は50kg。
軽すぎる。
ソイツはガリガリのくせに筋肉は程よくついている。
ムカつく。
なぜ私が太ってお前は太らない?
ソイツは私に向かって
「あー。早く太りてぇなー。なぁ、太り方教えてくれよ?」
と尋ねてくる。
私は無視して違う部屋に移動すると
笑う声がいつも聞こえてくる。
イライラする。
だから女にモテないんだよ。