やはり、予想していた通りだった。


男の人が教室に入るなり 生徒の視線が一気にこちらへ向いた。

それもそのはず。


ごく普通の公立高校である桜宮高校は
あたしみたいな、ごく普通にいる市立の中学生たちが集まってくる高校
であって、この人みたいな―― いわゆるチャラ男は少ない。



チャラ男と勝手に決めつけるのは少し抵抗はあるが
初対面でもチャラ男といってしまえるくらいのオーラがあった。



「あ・・・そうだ。席・・・席・・・・・・」


さっきの人に気を取られて忘れていた。
あたしの席、どこだろう?



「あった!」

良かった。後ろの方だ。



鞄を机の上に置いて、辺りを見回す。

あれ?さっきの人、どこ行ったんだろう。