「ただいま」
「お帰り。早かったのね」
心配そうに母親が言う。
「…うん。ちょっとね」
私は平気な振りをして部屋に戻ると、携帯の着信を確認した。
シュウだもん。あんな状態ですぐに電話なんてくれる訳がない。
私だったら、どんなシュウでも受け入れられるし、一緒に居たいよ。
シュウが私を想う気持ちより、私がシュウを想う気持ちの方が強い事に改めて気付く。
大丈夫。
ずっと一緒だもん。ね?シュウ……。
シュウから貰った指輪
ずっとシュウと一緒だから……。
それから1週間、シュウから何の連絡も無い。
それでも、頑張れる私が居た。
「倫子ー、ご飯よ」
「はーい」
私は1人じゃないんだ。
あの1人で東京に居た時とは違って、孤独を感じない。
もし、あのまま東京に居たらと思うと怖くなるくらい…。
家族で囲む食卓は結構好きで
「倫子、又いい話しを貰って来たぞ」
嬉しそうに父親が言う。
「又、お見合いの話しでしょ?もういいから断ってよ」
「まだあの若僧の事が忘れられないのか?」
父親は声高々と言う。
私はご飯を吹き出しそうになった。