シュウから電話があったら聞いてみよう。


『本当にそれでいい?』


聞いてみよう。





そして夜になって、ご飯時に母親が言った。



「ねぇ、お父さん、松本建設の社長さんって知り合いだったわよね?」


「あぁ」


「倫子がそこに行きたいって」


「そうか。明日にでも言ってみるか」



私はその話しを複雑な思いで聞いていた。



「倫子?」


「あっ、うん。お父さんお願いね…」



父親と母親の話しを何となく聞きながら、急いでご飯を食べると部屋に戻る。



部屋に戻って携帯を見ると、やっぱりシュウからの着信は無い。


シュウに電話をしよう。


シュウが頑張れって言ってくれれば、きっとこんな迷いは吹き飛ぶんだ。



「はい」


「シュウ?まだ仕事?」


「ううん。今日は定時だったから」



その言葉が私を少し憂鬱にする。



「ふーん…」


「どうしたの?」


「…ううん。あのね、仕事、すぐに決まるかもしれない」



私は少し期待する。


『仕事はいいよ。もう一緒に住もう』


シュウがそう言ってくれるんじゃないかって…。