「……本当に弟なら、なんで駒込で声掛けたり非通知で電話してくるのよ?」


「会いたかった兄さんの彼女をからかいたかっただけ。いや……嫉妬だな」


「……嫉妬?」


「そう。ずっと兄さんの傍にいる女に嫉妬」



ヒデキはそう言って笑った。



「なんで私が彼女だって知ってるの?それに……そんなにシュウに会いたかったなら、私に会う前にシュウに会うんじゃないの?」



ヒデキは私の腕をギュッと掴む。



「そんなことどーでもいいじゃん。暫く一緒に住む訳だし、仲良くしよーぜ?」


「……」



「じゃあ俺、部屋に戻るから」



そう言って部屋の中にヒデキは戻っていった。


掴まれた腕にまだ少し感覚が残ってる……。


あまり立ち入ったことは聞かない方がいいのかもしれない。


少し怖くて、

鼓動が速くなる。


食器、洗わないとね……。



「倫子さん」


「えっ?!」



シュウの声にビクンとなる。



「……?なにかあったの?」


「なにも……ないよ」


「そう?お風呂入ってきなよ。後は俺がやっとくから」


「ありがとう、シュウ。お風呂から出るまでここにいてね?」


「うん」