目の前に少し太った、小坂さんという、おじさんが座った。



「えーっと…」



小坂さんは私が記入した紙に、記入漏れが無いかを確認する。



「じゃあ、先に登録の方を済ませますね」



そう言って席を離れ、少しすると戻って来て紙を渡して言った。



「これが登録票です。3ヶ月が過ぎると、再登録となります」


「はい」



私は説明を受け、パソコンで仕事先を探す。


希望通りの仕事先はなかなか見付からなくて、それでもめぼしい会社を三社見付け、印刷をして用紙だけを持って、家に帰る事にした。



「ただいま」



玄関先に母親が来て、私に言う。



「お帰り。どうだった?」


「んー、とりあえず私の条件に近い所をね…」



母親に持って帰った紙を見せると、その内一枚の紙を見て言った。



「ここなら、お父さんの知り合いだから、入れるんじゃないかしら?」


「そうなの?」



私がこっちで仕事を決めると、シュウとは暫く一緒に住めない。


そんな事が頭を過る。



「うん。帰ったら聞いてみるといいわ」


「…うん」



私はそのまま部屋に戻り、シュウからの着信を確認する。


着信はない。