「じゃあ、行くね!」



これ以上寂しくならないように、私は改札口へと向かった。



「倫子さん!」



シュウの大きな声に振り返ると、シュウは言った。



「早く一緒に住めるといいね」


「うん!じゃあ、又ね!!」



笑顔で答えてホームに向かう。

涙が溢れた。


嬉しいのと、幸せなのと、寂しいのと……


色んな気持ちがごちゃ混ぜになって、訳も分からず涙が出る。


ホームに着くと新幹線はもう来ていて、私は新幹線に乗り込む。


そしてドアが閉まるブザーが鳴ると、新幹線は走り出した。


シュウとの距離がどんどんと開いて行く。



やっぱり…寂しいよ


新幹線の中でふと考える現実…。


手首の傷はきっと隠しきれないんだ。


父親の反対だって、いつかは説得しなければいけない。


シュウの部屋にあった、アルバムの女の子の事も…。


シュウと離ればなれになっていた間に、沢山出来てしまった溝を少しずつ埋めて行かなきゃ。



今度シュウと会った時、傷を見せよう…。


引かれるのは怖い。


でも、そこから進まないと先には一歩も進めない…よね?


すっかり暗くなって、新幹線の窓から見える景色は、ポツリポツリと家の明かりが寂しそうに光ってた。