一時間近く経ったとき、秀司が息を切らせながら走ってきた。
「間に合わないかと思った……」
「早く乗ろ?」
「おお」
新幹線に乗り、秀司と隣同士に座ると、秀司が嬉しそうに話始める。
「俺さ、明日のワイドショーに出るから、お前絶対見ろよ?」
「……」
本当に気楽なんだから。
「なんだよ?『絶対見るよ』とか言えよな」
「……。そんなことより、リカコさんとなに話したの?」
「そんなことってお前さぁ……。まぁ、教えてやってもいいけど、聞きたい?」
「……。やっぱりいいや」
「いや、聞いてくれよ~」
秀司の豹変振りに思わず笑って、私は言う。
「聞いてあげる」
秀司は嬉しそうに話し始めた。
「リカコがさ、ウェディングの仕事を請けたのはさ、ドレス着たリカコを見たら、俺が早く結婚に踏み切ると思ったからなんだってさ」
「ふーん。で?」
「でも、俺の態度が微妙だし、あの日もお前を連れてイベント行っただろ?だから、もういいって思ったみたいで別れたんだけど……やっぱり俺しかいないってさ」
「ふーん。よかったね」
「なんだよ、もっとお前も喜べよ」