顎を触れていた手は唇に逸れ、人差指で
軽く撫でられる。
「……っ、」
目だけ反らし、せめて視線を合わさないようにする。
捕まえられる。
「蓮花がおれにそう思うように
おれだって、蓮花にそう思ってる。
そういう風に見てる。」
指は首筋をなで、喉に触れる。
「…………赤くなって。おれが触れてるだけで」
「っ、……」
「蓮花、顔を見て。」
「…………。」
喉に触れられたまま、甘く低い声は
頭に残っては響く。
彼を恐る恐る見る。
「………」
「……。」
「…………」
何も変わらない。
「綾瀬さん。」
「うん、」
泣きそうだった