彼の声が降ってきた。
「……何かしましたか?おれはあなたに
嫌がられるような事。」
「違います。」
「…なにが?」
少し冷たい声だった。
「………」
触れられたら、怖いくせに触れて欲しい。
そしたら安心できるのに。
口にしたら、やさしい彼はすぐにしてくれる
だろうに。
体から熱が出てるんじゃないかってくらい熱い。
「……………優しくしないでください。」
「え……」
「あまり私に優しくしないで下さい。困るんです、
名前で呼んでくれるのは嬉しいです。
でも、………耐えられないんです。苦しいんです。
………前はへいきだったのに。」
こんなんじゃなかった。
綾瀬さんに好きと言われて、浮かれたけど
やっぱりだめじゃないかと思って
期待しないようにしていたから
どこか客観的に見ていて少し冷めていた感じだったのに。