大浴場から出て、スリッパを履き
部屋に戻る。
 

シーズンから外れているのか、
お客さんは少ない気がする。




ぱたぱたとスリッパの音が響く。




「…蓮花。」


「あ、あや、直昭さん。」



声がしたので振り向くと直昭さんがいた。




……浴衣。




自分と、同じ浴衣なのに。
格好いい!





「…疲れ取れました?」


「え、はい。………直昭さんは。」




「はい、それなりに。冷えますよ。」



羽織っていた、黒い羽織をふあっとかけてくれた。


「え、直昭さん。大丈夫で」



「風邪引くから。」