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「……こっちみないで。情けない顔してるから。」



「……。はい、」




あのあと直昭さんは
5分くらいなにも言わなくて

その後に「……うん、ありがとう」
と言って私から体を離した。


















「…………。くそ。カッコ悪……。」



目のあたりをガシガシ袖で擦りながら、
すんと鼻を鳴らした。



「ごめんなさい。」






直昭さんは、軽く首を振って否定した。
いつもと同じ低くて安心する声で。


「……あなたといると自分がいかに、
弱いかを痛感します。強いと思っていたけど
違うんだな。

強いと思い込んで強いフリして、
あなたを守ろうとしていた。それに気が付きました。」