「好きだ」 こもった声だけど、はっきり聞こえた。 綾瀬さん、の声。 心臓が思い出したみたいに鳴って、 息が詰まる。 「……おれにあなたを守らせてください。 もっと、もっと、 幸せそうに笑っていて欲しいから。まだ、おれが立派なヤツじゃないのは 分かってます。分かって………んだ」 私の頭を抱えていた腕は緩んで肩をきゅっと 抱き寄せられている。