わたしはあの時も聞いたのに…どれだけ
このひとから言葉を聞かないと
安心出来ないのだろう。
弱い……自分に苛々する。
「……今日姉に会って、蓮花のこと話した。」
「え、………?」
「……勝手に話してごめん。でもおれも、
誰かに話したかったんだ。蓮花のこと。
あ、……秘密にしてるのが後ろめたいとかそういうん
じゃなくて。
ただ、誰かに知っていて欲しかった。
蓮花は、七瀬さんとかさっきの結城さんから
色々言われたりしたから
おれより思うことは、多いと思う。実際に
いまそういう顔をさせてるから……。
けど、」
彼は不意にぎゅっと私の頭を抱え込むように
自分の方に抱き寄せた。
「…………きだから。」
「綾瀬さん、…………?」