なんで、
綾瀬さんはわたしのことを考えてくれるんだろう。
放って置いて、本当はわたしよりもっともっと
綺麗なひとと幸せになったほうが、
綾瀬さんのためかも知れないのに………。
***
「藤ノ宮さん。」
「………あ、私。」
「寝てましたね。完全に。」
優しく肩を叩かれ私は目が覚めた。
眠っていたのだ。
綾瀬さんが駅までお姉さんを見送りに来て
(車で旦那さんが迎えに来てくれた。)
帰り道に私と駅であったのだ。という話をしたのは
覚えているから、そこから眠ってしまったのかな……。
申し訳ない。
「綾瀬さんを差し置いてすみません。……つい、」
「……謝らなくても、寝ている顔も
見れたから役得でしたけどね、おれは。」