「……藤ノ宮さん。」


「はい。」


綾瀬さんは、テーブルに置いてあったポットから
お茶をコップに注いでくれた。


少し前に泊まった時に淹れてもらっていた
紅茶セットと同じものだった。





綾瀬さんは、ふっと笑って
眼鏡を外した。

目をごしごし擦った。



「あの、眠いなら……」



「……大丈夫。」



時間は夜の11時。



「俺は藤ノ宮さんに会ったとき、へたってたんです。
仕事で煮詰まってて、悩んでいた時に偶々来た
レンタルショップで偶々誰かと俺の話をしているあなたを見かけた。

…」