王子様なんて、私には縁がない話だと思っていた。
王子様の隣にはお姫さまがいるから。
お姫さまは、もっと綺麗なひとで、
わたしはお姫さまを綺麗にするひと。
そういう役割だってわかっていた。
だから、王子様とはきっと出会う事は、ないのだと
ずっと思っていた。
だから、王子様から手を伸ばされた、
わたしは簡単に手を取ることなんて出来なかった。
わたしはお姫さまじゃない、
もしその事に気づいたら、あなたは私を手放す。
手放された時に、私に唯一の役割の
お姫さまを綺麗にする事が出来なくなってしまって。
空っぽの私しか残らなくなってしまうんじゃないか。
そうなってしまうことが、
なにより一番怖かった、