「………。」






きれいなきれいなお姫さま。
俺なんかが触れてはいけない、宝石。







夕陽が彼女を照らし、一瞬目がくらんだ。
目を合わせないまま藤ノ宮さんは下を向いていた。



「すみません、店でしたね。」



俺は手を離し店の方に向かう。




「………。」




ぼーーーん、ぼーーーんと古い置時計の音がする。




「あ、綾瀬さん。」






「……うん?」