「……。」
彼女にそっと近付き花冠に、触れる。
「綾瀬さん……」
「ちょっといいですか?」
藤ノ宮さんから花冠をそっと貰い再び彼女の頭に乗せる。
近くで見たらまだ
根元が白く花びらはピンク色の薔薇だった。
「……綺麗ですよ。お姫さまかと思いました。」
藤ノ宮さんは、えと口を開けた。
ポカンという表現が似合う口の開け方で
ちょっと可笑しかった。
「お姫さまですか?うーん、
……さすが店長。ありがとうございます。
……、」
藤ノ宮さんは俺を見て、はっと目をそらした。
こないだ俺が言った事を思い出したのだろうか。
俺は彼女にさらに近付き、右手で髪をすいた。
お姫さま。