「え、あ、頭?」
藤ノ宮さんは気付きわたわたと花冠を取った。
「店長ったら……。今度結婚式があるから
多分それの練習で作ってたんですよ。きっと、もー、
」
藤ノ宮さんは、アレンジメントの練習をしていから
気づかなかったとか、なんとかいって
まるで花冠が店長みたいに凝視していた。
「ええと……綾瀬さんが……お迎えに来る
予定だったんですね。
お姉さんはいま、外にちょっと用事で……
外出されていらっしゃいます。もう少ししたら
帰って来ると……、綾瀬さん……?」
俺がなにも言わないから藤ノ宮さんは、黙った。
「……。」
彼女が持っていた花冠を見る。
綺麗な薔薇だ。