〈綾瀬目線〉








***










仕事が終わり、姉を迎えに"Aquagarden"に向かう。
バス停から降りたらすぐ近くだ。






事務所に寄ってスケジュール確認をして、
一通り終えたどこで姉から連絡が来た。








…藤ノ宮さんに絡んでないといいんだけど。









てくてくと歩道を歩く、ちょうど夕方。
夕陽が沈んでいる。






「……着いたけど、姉ちゃん?」







"Aqua garden"の外には姉はいない。
店の中か?


迷わず、入口の取っ手に手をかけドアを開けた。






カランカラン。





軽やかな音が鳴る。
この店は、自動ドアじゃないのだ。





何でも、店長が自動ドアを嫌っていたかららしい…。
前に藤ノ宮さんが言っていた。



綺麗な音だ。


「すみませーん。」






カッコッ………カッコッ……古い置時計の音。





静かな有線の音楽、きれいに並んだ花。
いい香りがする……。