実は今日は、姉が藤ノ宮さんの
花屋に打ち合わせに行く予定だ。
俺は休みな訳はなく仕事。
姉は昼までだったから、打ち合わせを頼んだ。
姉には、事務所の近くに花屋があり
いつもお世話になっているから頼んだと伝えた。
まさか、こんなに早く藤ノ宮さんが
姉と会うとは思わなかったが……。
「しかし、なんで今回に限って花束なんだよ。」
姉から連絡があったとき開口一番に俺は聞いた。
姉の前じゃ、肩書きは"声優"だろうが、
俺は必然的に"弟"になってしまう。
「『お父さんがね、花を贈りたいんだって。お母さんに。』」
「はぁ……。」
「『本っ当間の抜けた返事ね。
直は。ブログ同様に。
まぁ、いいわ。本来は結婚記念日は男から
女性に花を贈るのが当たり前なの。
何ら不思議は無いわ。』」