どれくらい時間がたっただろう…
自習室は人で溢れかえり始めていた。
そんな中、私はある人に目が止まった。
「雛どうしたの?固まってるよー」
佑紀が私の視線の先に目を向けた。
「あおい?」
佑紀の口から発せられたその言葉が、頭の奥に響いた。
葵くんから目が離せなかった。
「そんなにかっこいい?」
佑紀はお菓子を食べながら興味なさそうに聞いてきた。
かっこいい?
確かにかっこいい。
でも、そんなんじゃない。
なんていうのかな?
私が始めて恋をした人。
一目惚れした人なんだ。
どこがかっこいいかなんて分からない。
でも、とにかく好きだった…