私立アリス学園に通う佑紀は、私立と言うだけあってお嬢様。
バス停まで、学校からバスが出ている。
そんな生活に時々憧れる。

でも、佑紀はお嬢様みたいに気取ることはなく、私たちと何ひとつ変わらない。
そういうところも含めて、佑紀が好きだと改めて思った。


「ねっむい…」
塾の授業が始まるのは19時から。
それまでは自習室で自習する決まりになっている。
しかし、そんなのを守っていたら寝てしまう。
自習室は暖房が効いていて、とても心地良い温度になっている。
それが逆に私たちを眠くさせるのだと先生は分かってないのかな?

「よし。寝ちゃえー!」
そう言いながら佑紀は、マフラーをなにやら枕のように丸め始めた。
「馬鹿なの?先生に怒られるよ?私知らないから。」
私は先生に怒られるのが嫌だった。
「ひっどーい。雛変態!!」
佑紀の声はとても大きく部屋に響きわたり、多くの生徒が驚いた表情で私たちを見てくる。
「変態の使い方間違ってるよ。そもそも、私は変態じゃなくて変人です!」
私は冗談混じりに佑紀のおでこにデコピンした。
「いったー!!!
やっぱ雛変態だわ。」
この子に何度言えば伝わるのだろう。
変態の意味を知っているのだろうか。
私は訂正することを諦め、一人で勉強し始めた。