そんな中でも、夜が明けてリハビリが始まると気持ちを切り替えてできたのは、やっぱり「あの人」の存在があったから。








トントン
来た!いつも、このくらいの時間になると、ノックが聞こえる。

ガラッ

「よ」

そして、いつも素っ気ない挨拶をして病室に入ってくる。


「また…泣いてたか?」

何で、見破っちゃうかな…。どんなに涙を隠していても、すぐにわかられてしまう。


「海斗……。」


事故があった日から海斗は、毎日練習の帰りに病室に来ているみたいで、私の意識が戻ってからは、「来なくて大丈夫」って、何度も言っているのに、毎日必ず来て、何をするでもなく側にいてくれる。
おかげでもう何回も泣いているところを見られてしまっている。弱っているところなんて、絶対に見せたくないのに…。




でも、そんな海斗の優しさがこんな時だからこそ心にしみて、まだ自力で歩くことが難しいのに、心はどんどん海斗に惹かれていった。