「……っ」
そして、目が覚めた時にはすでに海斗のデビュー戦がとっくに終わり、本来ならデートをしていたはずの日だった。
それだけでもショックだったのに、そこに追い打ちをかけるかのような内容が私の耳に入れられた。
「右足膝の前十字靭帯の損傷に加え、数ヶ所に骨折や打撲があります。骨髄、臓器等には奇跡的に影響がありませんでした。脳も、脳震盪を起こしていたようですが、問題は見られませんでした。
…ですが、バスケットは中学生の間中に普通にプレーできるようになるのは、難しいと思います。」
「…。」
「忘れないで下さい!毎年、あなたのような事故に巻き込まれて亡くなる方がたくさんいらっしゃる中、あなたは治る怪我をしただけで命は助かったんです。今は辛いことだらけに思うかもしれません。
でも、このことだけは絶対に忘れずにいて下さい。」
「…はい。」
側にいたお母さんは泣いていて、姉2人も辛そうな顔をして私の手を握っていた。
毎日を幸せに感じていたのが一瞬にして消え去り、私に襲いかかってきたのは、中学生になったばかりの私には重たすぎるほどの消失感だった。