「何ですかあの玄野くんのお姫さまだっこは~?もしかして、くるみたちが知らない間に付き合うことになったの?」
つ、付き合……?!
突然のその単語に、顔に熱が集中する。
「そ、そんなわけないでしょ!」
あたしだって、なんでこんな急に龍くんがあんな態度とったのかわかんないし…。
「でもねぇ~やばかったよ!結菜ちゃんがゴールした瞬間颯爽と現れて、お姫さまだっこだよ?まさに王子様だった!」
くるみが興奮気味にまくしたてる。
「でもあたし、あんなに龍くんに拒否されてたのに、こんないきなり優しくされてさ……」
嬉しいと同時に、何を考えているんだろうって、ちょっと怖くなってしまう。
期待したら期待したぶんだけ、裏切られそうだし……
「結菜、あれは好きじゃなきゃしないわよ?」
綾乃ちゃんの言葉が、静かに部屋に響いた。