さっきは思わず抱きしめてしまったけれど、こんな結菜相手には、話は別。
バクバクとうるさい心臓に手をあて、結菜から少し距離をとる。
弘美さんの言ってた子どもって……もしかして…。
だめだ。このまま結菜の近くにいたら、俺は何をするかわからない。
「ご、ごめん俺今日は帰るわ」
立ち上がろうとする俺の腰を、
「……やだ…」
弱々しい結菜の声が縫い付ける。
「行っちゃ…やだ」
その涙目の甘えるような上目遣いが……
「……っ」
もういいや。弘美さんも本人は覚えてないって言ってたし。
いや、そういう問題じゃないんだけど。
とにかく我慢できず、俺はぎゅっと結菜を抱きしめてしまった。
あああもう!何なんだよこの結菜は!
これで何もするなというほうが無可能だともう開き直ってやる。