ふと、枕元のネコのぬいぐるみが目に入った。
これ……俺が射的でとったやつだ…。
思わず笑顔がこぼれてしまう。
「ん…」
冷たい湿布に驚いたのか、結菜が目を覚ました。
「龍…くん…」
不安そうに伸ばされた結菜の手を、慌ててぎゅっと握る。
「ここにいる」
弘美さんがにっこりと笑った。
「龍くん、少しの間でいいから結菜についていてあげてくれない?喜ぶと思うわ」
「はい…もちろんです」
「ではまた、ご連絡ください。迎えに参ります」
森川も帰る支度を始める。
「あ!結菜ね、熱が上がるとちょっと子どもみたいになっちゃうのよ。本人は覚えてないみたいなんだけどね。ま、よろしくね!」
パチリとウインクしてみせ、部屋を出ていく弘美さん。それに続く森川。
「は…はぁ」
子ども?
首をかしげていると、結菜が弱々しく俺の手を握ってきた。
「どうした、しんどいか…?」