☆side 龍☆



苦しそうにしてはいるものの、規則正しい寝息が聞こえてくる。



「おやおや、安心して気が抜けたのでしょうな」



運転席のほうで森川が微笑んだ。



「病院はどういたしましょう?」



結菜を起こすのもかわいそうだ。



「寝かしてやりたい。結菜んちに行ってくれ。湿布だけ足に貼って明日、病院に行かせる」



かしこまりました、と車は方向転換した。



結菜のポニーテールを優しく解き、やわらかい髪をそっとなでる。



ふわりとシャンプーの匂いがした。



愛しさで胸がいっぱいだ。



だが、寄りかかってくる体は信じられないほど熱い。



熱、上がったんじゃないか…?



本当に、無茶しやがって…



でも…



「よく…頑張った」


   ☆   ☆


ピンポーン



チャイムをならすとすぐに、はぁーいと、きれいな女の人が出てきた。


目元が結菜にそっくりだ。