───カナカナカナカナ…
夕焼け空にひぐらしの鳴き声が響く。
夏の終わりを惜しむようなひぐらしの声ってなんだか切ない。
気づけば新学期まであと3日。
玄野くんの家から泣いて戻ってきたとき、お母さんはあたしの異変に気づいてはいたけれど、そっとしておいてくれた。
話を聞いてくれた綾乃ちゃんとくるみは、あたしを励まそうと夏祭りや海へ連れて行ってくれた。
みんなに気を遣わせたことが申し訳なくて。
心配かけないようみんなの前ではテンションあげてはしゃぐんだけど、
こうして部屋にひとりでいるときはやっぱり暗くなってしまう。