☆side 結菜☆


電車を待っている間、意識がつながれた右手に集中して仕方ない。


「ちょ、玄野くん!」


もうさすがに恥ずかしいよっ…


あたし、男の子と手つないだのなんて初めてなんだもん。


手をふりほどこうにも玄野くんがぎゅっとつかんできて離してくれない。


あうー…何であのときちゃんと断らなかったんだろ…。



でも正確には断らなかったんじゃない。


断れなかったんだ…


それは玄野くんをはたいてしまったどうこうではなくって、

あののぞきこんできた玄野くんの笑顔を見たら……


「うぅ~……」


思わず呻いたあたしに


「じゃー今ここで俺にキスされるかつないだままかどっちか」


玄野くんがにやりと笑ってそう言った。


は?!一気に我に返る。


「ど、どっちもやだ!」

「じゃあ俺に好きって言え」

「きらいだから言わないっ!」


っていうかなんなのよ!そもそもじゃあの意味がわかんないし!