「ねぇ、やっぱり何かあったんでしょ?春華、元気ないもん。」

「やだなぁ、麻里って本当、心配性。」


私たちは目の前の信号が点滅してきて、走り出した。

ここの交差点の信号は引っかかると長い。

信号を渡り終えて、息を整える。
すると、麻里が遠慮がちに切り出した。

「ねぇ、やっぱり……永井くんの噂って本当なの?」


麻里は少し、気まずそうに俯きながら聞いていた。


「……そ、だよ。黙ってて、ごめんね。実はちょっとさっき喧嘩しちゃってさ。」


「ううん、私も最近、春華に恋愛の話、聞かなかったし。陽くんとは別れたの?」


ずくん、と胸が痛んだ。