なんで……


「どうして…」


嘘ついてたこと謝って、朝の陽とのこと話して……


それで、済むかと思ってた。


陽は結局、多分、裕くんのことそんなに恨んでない。


それがわかったから。


「僕はっ!」


裕くんがぎゅっと拳を握る。
通勤時間になり始め、混雑してきた道。


そんな中でも裕くんのその声はスッと響いた。


でも、次の言葉を紡ぐ、裕くんの声は涙声みたいに掠れていた。




「きっと、兄貴の代用品だと思ってた。」





背筋が凍りつくような感覚だった。


「兄貴を忘れるまででも、近くに居たかった。勝手に幸せもらってた僕も最低だと思う。」


違う、陽の代用品なんかじゃない。


裕くんは、どうして……
私のこと、本当に好きだったの?


「私は、裕くんが見た目とか、関係なく人を判断する人だと思ってた……そう信じたかった。」