土曜日の、うどん屋さんでの、裕くんを思い出した。


あの時……写真を撮られたときの怒ったようなやるせない顔。


「どうして…嘘ついたの。」


怖い。
綺麗な彼の声は怒りを含んでいた。


踏み出した一歩は、簡単に怖気ずいてしまいそうになる。


でも、これ以上嘘をつくのはやめようって、決めたの。

「ごめん。……少しでも、裕くんによく見て欲しかったから。」


これは嘘ではない、本当の気持ち。

こんな綺麗じゃない気持ちを伝えることになってしまったのは、きっと自分のせい。


「どうして…なんでだよ……」


裕くんの反応は予想外だった。

「僕……もし、兄貴のほうが振られたの知ってたら付き合わなかった。」