「引っ越すって…本当?」
熱のことも気になったし、土曜のことも謝りたかったけど。でも。
今の俺にとって一番大事なのは、桜が俺の前からいなくなってしまうということの真偽。
彼女は、言葉を発することもなく小さく頷いた。
「な…んで?どうして言ってくれなかったんだよ…」
俺、一応彼氏だろ…?
「だ…って。マナ、君…私のこと、好きじゃないでしょ?」
「何言って…」
俺は好きだよ、桜のこと。
どうしようもないくらい好きだ。
そんなことを言わせたのは、間違いなく俺の浮気という行動。
「俺桜のこと、凄く好きだよ。浮気も、バカみたいな話だけどお前に妬いて欲しかったんだ…」
「ごめん」と謝ろうとした。
でもそれを、普段穏やかな彼女の「サイテイ」という言葉で飲み込まれた。