そう、私たちは

いつもこんな風に会話をする。


私が素直で可愛かったことは、

きっと一度もないのかもしれない……。


建前は義理だろうが

本音は本命だろうが、

今日くらいは可愛くチョコ渡せたらなあって――


「江田さー、もうちょっとこう……おしとやかになれば?

そうだなあ、

『逢坂きゅんっっ!ハート!』みたいなさ」

「えっ!何今のものすごい気持ち悪さ!!もういっそすごい!」


ああ、ダメだ!!


ああどうしよう、どうしよう、

せっかく今話せてるのに

もうそろそろでチャイムが鳴ってHR始まっちゃう!


可愛い事のひとつも言えず

パニックになってると

後ろから声がかかる。


私にじゃなくて、逢坂に。


「あ、逢坂ー、はいあげるねぇ」

他のクラスなどにも配り終えた

志津香たちが戻ってきて、

逢坂にさっき私ももらったお菓子を……って、

えぇーー!?


「おっ、マジで!さんきゅー!」

「わかってると思うけど、義理だからね」

「はいはい」


なんて目の前で会話してるのを

私はただぼーっと見てるだけ。