「んじゃ、いってらー」
とくるりと後ろを向かせられる。
「えっ!?え、ちょっと……――っっ!!」
やけにニコニコしてた瑠維の顔は
一瞬横目にうつったけど、
その表情の意味を考える間もなく、
後ろを向かされた勢いのまま誰かに突進してしまう。
「……ううー、いてて。
あっ、ごめんなさ――!!」
ぶつけた鼻をさすりながら
謝ろうと顔を見上げると
「おおお逢坂っっ!?」
「おぉ、江田-えだ―!はよーっす」
目の前には耳にかかるくらいのブラウンの短髪、
細くも太くもない首筋に
少し緩んだネクタイ、
吸い込まれそうな大きな瞳とまぶしい笑顔の逢坂が!!
うわぁぁ、今日も朝からかっこいい……!
なんて思ってても顔に出すことは出来ないし、
それにこの後きっと――
「勢いよく飛び出してきたから
俺のファンの子かと思ったー!」
「はっ!?何それ、意味わからない」
「いや、普通意味わかるっしょ。
……あっ、そっかぁ、
見る目ない江田さんには俺の魅力は伝わらないかあ!」
「いや、だからアンタに魅力とかひとかけらもないから」
「……っんとに、可愛くねえな、お前ー」
不満そうに唇を尖らせた逢坂。
ああ、またやっちゃった。。