きっと顔が真っ赤であろう私に
逢坂は満足そうに笑みを向け、
さっきよりもしっかりと私を抱きしめた。
「っんとに、素直じゃねえなぁ。
……けど、たまにこうやって素直になっちゃうところが
もう可愛すぎんだっていうね」
「……っっ!」
いつもは絶対、
お互い素直になれなくて
聞くことのなかった甘い言葉の数々に
私はもう頭がくらくら。
「ふふ、こんな逢坂が見れるなら、
本当にたまに、
素直になってあげるのも悪くないかな、なんてね」
私がそう言うと
嬉しそうな声が耳をくすぐった。
「はは、素直になるから
私に優しくしてください、でしょ」
「……はぁ!?
優しくするから
可愛く素直になってくださいの間違いでしょ」
「えっ、何言ってんの……」――
そんな風に繰り広げられる
いつもと同じ、
素直じゃないやりとりのはずなんだけど、
言い合いながらも
私の背中から離れない
逢坂の腕が何よりも愛しかった。
Fin.